宮城県七ヶ浜町「スポーツダーツの町宣言」を目指して。

 今回は、セガサミーグループから復興支援員として宮城県七ヶ浜町役場に出向している社員より、スポーツダーツプロジェクトの活動レポートが届きましたので、紹介させていただきます。

これまでの七ヶ浜町復興支援について

七ヶ浜町への復興支援

 宮城県七ヶ浜町は、2011年3月の東日本大震災により、町の面積の1/3以上が津波による被害を受けました。セガサミーグループは社会の一員として、被災地の復旧、復興へ取り組んできましたが、七ヶ浜町での活動は、同年9月の社員ボランティアによるがれきや汚泥の撤去の復旧作業にはじまります。

 その後も継続的な復旧作業を行い、復興に向けた意見交換を交わすなかで「子どもたちを笑顔にすることが、大人たちの元気に繋がり、復興への力になる」という声が届くようになりました。

 それを受けて社内で検討を重ねた結果、セガサミーグループのリソースを活用して『笑顔、元気を届けよう!』をテーマに、2012年に七ヶ浜町で初の復興応援イベントが開催されました。その後も、七ヶ浜町内行事「七ヶ浜町生涯学習フェスティバル」と同日開催のイベントとして地域に定着し、子どもたちの笑顔があふれる一大イベントとなりました。

七ヶ浜町現地でのセガサミーグループ新入社員研修、野球教室や水泳教室など、様々な形で七ヶ浜町と継続的な支援・関わりをもってきました。

地方共創プロジェクト

 復興支援活動をきっかけに七ヶ浜町と継続的な関係を築きましたが、何か新しい枠組みで復興にお役立ちしたいとの思いから七ヶ浜町関係者と話し合いを重ね、2019年6月にセガサミーホールディングス(株)と七ヶ浜町は地方創生に関わる連携協定の締結に至りました。

「地方共創プロジェクト」は「七ヶ浜町のみらいに向かって共に創る」という思いを込めて名付けられました。同年7月からはセガサミーグループ社員が復興支援員として七ヶ浜町役場に出向し、現地に身を置きながら地域課題の解決に向けての活動がスタートしました。

七ヶ浜アロープログラム

 七ヶ浜町職員と共に様々な調査・活動を行うなか、スポーツダーツを通じて健康寿命の延伸や世代間交流、コミュニティの活性という地域課題の解決に取り組む機運が高まり、2021年度よりスポーツダーツを活用した「七ヶ浜アロープログラム」事業が始動することになりました。

【1】実施内容

やりたいこと:町内地区対抗大会

 七ヶ浜町では約60年に及ぶ地区野球大会、30年以上に渡る地区対抗綱引き大会が行われていて、「地区同士の対戦は燃える」という地域性が垣間見られます。七ヶ浜町職員と将来的には「地区対抗大会」「七ヶ浜町長杯」といったダーツ大会を企画し、地区毎にオリジナルダーツユニフォームを着て盛り上がる姿を見てみたいと話しています。

始まったこと:高齢者向け事業展開|介護予防教室

 インストラクター団体が中心となり、定期的に各地区の集会所で軽運動を主体とした介護予防教室を行っています。2021度からは同教室の内容にダーツを取り入れ、これまでと同様に同団体を中心に運営しています。参加者のみなさんがダーツを楽しめることを第一に考えた運営方針とし、七ヶ浜町職員、同団体所属のインストラクターと定期的な意見交換を行うなどしています。

予定していること:体験機会、交流機会|ダーツ機材の設置、貸し出し

ネットワーク対応ダーツライブ2の常設
 七ヶ浜町内外の方が訪れる公共施設「七ヶ浜国際村」にダーツライブ2を2台常設します。「投げている若者の姿をみて、シニアが投げ方を聞いて会話が生まれる」といった世代をこえた交流がうまれることに期待しています。

機材貸出(ゼロボード、ダーツライブ200S
 町民向けにダーツをお貸しいたします。町内行事や個人利用など様々なシーンで活用を期待しています。地区毎の夏祭りもありますので、会場にダーツを置いて楽しんでいただけたらと思います。

【2】発案のきっかけ

 新しい生活様式のもと、新しいコミュニティ、きっかけが求められ、町内行事、介護予防教室、公共施設などでの試験的取組としてダーツの体験機会を設けたところ、これらの活動を通じて町職員や体験者から「七ヶ浜町の土地柄を考えるとダーツは楽しんでもらえると思うよ」との声が集まりました。前段の地区対抗の件でも触れたように「対戦することに燃える」「年齢・性別を問わずに手軽にできる」といった点が理由のようです。

 また、七ヶ浜町の姉妹都市であるアメリカ・プリマスの歴史(※)にダーツが関係していたとの記録があり、それを踏まえ、プリマスに関する展示企画に併せてダーツの歴史とダーツマシンの企画展を開催しました。

※1620年。イギリス・プリマスから新天地のアメリカ(現在のマサチューセッツ州プリマス)に開拓民が船で渡ったと言われており、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典では『1620年メイフラワー号上でも植民地建設団の一行がダーツを楽しんだ』と記録されている。後日、調査したところ諸説ありとのこと。

【3】構想実現への想い

 事業としては1年目ですが、まずは町の人たちに楽しんでもらうこと、ダーツを好きになってもらうことが第一と思います。そこから多様な関わりや展開を積み重ねて「心かよう健幸のまち・しちがはま」へのまちづくりに繋がることに期待したいです。

 自治体がダーツを事業化するというのは稀有な話ですが、地域に愛されるスポーツとして確立され「スポーツダーツの町宣言」を目指せるように、いろんな人の想いを紡いでいくことが役目だと思います。

この記事を書いた人

長嶋監督

どうやってより多くの人にダーツを楽しんでもらえるか、オンもオフも、趣味として考えています。