昨今、ダンスが学校の必須科目に取り入れられたり、サーフィンやスケートボードがオリンピック競技になったりと、日本でのスポーツの価値観も徐々に変化してきています。
ではダーツがオリンピック・パラリンピックの競技に選ばれ、学校の体育やクラブ活動でも行われるようなスポーツとしての「文化」を創っていくにはどうすればいいのでしょうか。もちろん普段からの草の根活動も重要ですが、さきほど例にあげた競技が認知を獲得してきた背景を勉強すると、行政への呼びかけや連動が大切で、共に普及活動に取り組んでいくことが必要不可欠だと感じました。
そこで2019年度は、スポーツに精通した政治家の方々に「スポーツの未来」についてヒアリングを行い、さらに「スポーツとしてのダーツ」についても意見交換をさせていただきました。
スポーツ庁の鈴木大地長官への表敬訪問
2019年5月、日本のプロダーツプレイヤーである鈴木未来選手がスポーツ庁へ表敬訪問しました。鈴木選手はハードダーツの世界大会でチャンピオンとなり、その報告に当プロジェクトの担当者も同行させていただきました。スポーツ庁といえば、1988年のソウルオリンピック100m背泳ぎで金メダルを獲得した鈴木大地選手が、2015年よりスポーツ庁長官として就任されてます。
まず鈴木大地長官には、「スポーツとしてのダーツ」について説明。さらに当プロジェクトのスタッフも運営に関わっている『スポーツダーツ選手権大会U-22』という大会に世界中の若いプレイヤーが参加し活躍していること、『THE WORLD』という世界大会では60代の選手が優勝していることなどをお話しさせていただきました。
スポーツ庁でも、世界有数の長寿国となった日本で「健康寿命の延伸」というキーワードは大きな命題となっているとのこと。今回の表敬訪問をきっかけに、幅広い世代が活躍できるダーツ競技と当プロジェクトのめざす目標に共感・関心をもっていただけました。
もちろん今回は鈴木未来選手の表敬訪問がメインでしたので、それ以上の込み入った話はしませんでしたが、当プロジェクトとしても十分な活動紹介や意見交換をすることができ、今後につながる有意義な時間となりました。
今後の展開
日本では戦時中に「スポーツ」というものが輸入された時、敵国に負けない為に「身体を鍛えること」が主眼となり、本来であれば一番大切な「楽しむ」という要素がなくなったと『日本スポーツ文化史(木村毅 著)』に記されています。しかし政府も今後も続く少子高齢化問題を考えた時、このままスポーツ離れが進むことは危険と考え、昨今では国内における「スポーツ」自体の考え方を世界基準に合わせようとしています。そのような影響もあり、今年から体育の日は「スポーツの日」に改名、2023年より国民体育大会(国体)も「国民スポーツ大会」に変更されるそうです。
現在、スポーツ庁のどの資料を見ても「ダーツ」という文字をみつけることはできません。競技として認知されるために、同じように“的”を狙う「アーチェリー」や「射撃」にはあって、「ダーツ」に足りないものとは何なのか。そういった観点をしっかり持ちながら、その新たな「スポーツ」の枠組みに「ダーツ」が参入できるよう、今後もさまざまな行政機関に働きかけを行っていきたいと思います。