杉並区が運営する中高生を対象とした児童青少年センター『ゆう杉並』。この施設は、さまざまな運動ができる体育館があるだけではなく、バンド活動に最適なスタジオやミキシングルーム、ボルダリングができるフリークライミングなど、充実した設備を理由に『日本全国の児童館における中学生・高校生支援のパイオニア』として、全国からさまざまな方が視察に訪れるモデル施設となっています。
当プロジェクトではその『ゆう杉並』に、2018年7月より実験的にダーツライブ2を1台常設。ダーツマシンが置いてあることで、子どもたちがどのように利用をするのか、施設で働く職員の方たちはどのような考え方をするのか、他地域にある同様の児童青少年センターなどはダーツに興味を示すのか、などさまざまなことを検証させていただいています。
子どもたちへの影響は?
『ゆう杉並』では、施設利用者が20分の交代制で自由にダーツマシンを利用できるようになっています。主なダーツのイベントは月に一度の『ダーツ講習会』と、職員と子どもたちで開催される『ダーツの集い』。ちなみに講習会は、プロダーツプレイヤーの柿崎耀選手に講師をしてもらっています。
上記の施策により、「ダーツに興味はあるけど一歩を踏み出せない」という子どもたちがまずはダーツに触れるキッカケをつくることができました。さらに、ダーツスポット(ゲームセンター等も含む)で恥をかかずにカッコよく投げたいと思う人が講習会を受け、柿崎選手を慕う子どもたちも増えていきました。そして、ダーツにハマった子どもたちは今度はアンバサダー(広め役)に成長しました。ダーツ未経験の施設利用者をダーツに誘ったり、自主的にダーツの大会を企画するようになり、コミュニティは徐々に拡大していきました。
子どもたちが企画・実行したダーツイベントは多種多様で、特にユニークだった2つを紹介します。
①『ダーツ業界で活躍するための座談会』
柿崎選手・ダーツ系YoutuberのMOYAさん・ダーツライブスタッフ加藤さんがスピーカーとなり、就職活動中の高校生をターゲットに開催。
②『ダーツフェス』
『ゆう杉並』ダーツマシンの女子利用率を上げるため、若手プロダーツプレイヤーとして活躍する坂口優希恵選手や宮脇実由選手を招待。 女性視点からダーツの魅力をPRしました。
最初にダーツにハマってアンバサダーとなってくれた子どもたちは、2019年3月の高校卒業と同時に『ゆう杉並』からも卒業となりましたが、いまでもダーツスポットでダーツを続けてくれているようです。
職員さんたちの反応は?
この『ゆう杉並』は杉並区が運営している施設です。施策当初は、ダーツにネガティブなイメージを持っている職員の方も何名かはいらっしゃいました。しかし実際にダーツマシンを設置し、子どもたちの楽しむ姿や、行動力・自主性が培われていく様子をみているうちに、徐々に考えが変わっていった方が多かったようです。
そのような好意的な雰囲気が生まれたのも、「スポーツとしてのダーツ」の魅力を当初から理解し、熱心に活動を続けてくださった職員の方のおかげであることは間違いありません。
また、他地域の施設職員の方も『ゆう杉並』のダーツ活動に興味を持っていただき、多くの施設の担当者との繋がりをつくってくださいました。以前の活動レポートで報告させていただいた『足立区の取り組み』も、『ゆう杉並』での活動がきっかけなのです。現在はコロナウイルスの影響で企画がストップしているものばかりですが、活動が再開次第また活動レポートを更新していきたいと思います。
今後の展開
2018-2019年度は、杉並区の児童施設や足立区の高齢者施設など、さまざまな地域や世代で≪点≫として活動してきましたが、2020年度からはその≪点≫を≪線≫で繋ぎ、スポーツとしてのダーツで街の活性化を目指すモデルシティを創っていきたいと考えています。